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今シーズン最後のNJP定期演奏会を聴いて参りました。
当初予定されていた新日本フィル委嘱作品・望月京『ニグレド』は完成の遅れのために延期となりマーラーの「花の章」という曲が演奏されました。この曲は、もともとは『ゼッキンゲンのラッパ手』というシェッフェルの戯曲の伴奏音楽として作曲されましたが、これをのちに交響曲第1番の初期稿の第2楽章として再利用したのだそうです。弦の美しく繊細な細かい動きからはじまりトランペットのソロが朗々と歌います。ヘルツォークさんのトランペットの音にうっとりしてしまいました。最後のほうにヴァイオリンのソロも聴かれ、そしてまたトランペット・ソロで終わるのです。こんなに抒情的で美しい曲なのだから、もっと演奏される機会があってもいいのに、と思いました。
次はクララ・シューマンのピアノ・コンチェルト。オーケストラのメンバーが入って来られた時、どうもチェロの方が間違ってヴィオラの席にいらっしゃりそうになった気配でした。1曲目と2曲目はチェロが外側の配置だったのです。ソリストのクレール=マリー・ル・ゲさんは長身のお身体に深い牡丹色のドレスをお召しになり、髪の毛をさりげなくまとめられておられました。タッチは力強いものでありながら、音に透明感のあるピアノでした。切れ目なく演奏されるこの曲、コンサートマスターの豊嶋さんは立ち上がらんばかりに弾いていらっしゃるところがありました。第2楽章のチェロとの二重奏では、ピアノはかなり控え目、まるで男性を立てる昔風の女性のよう。花崎さんのチェロがまたロマンティックでとても素敵でした。アンコールにリストの「2つの伝説」 から『波の上を歩くパオラの聖フランチェスコ』という超絶技巧的曲を弾かれましが、これが超名演でした。きっとこちらのほうがお弾きになりたかったのではないでしょうか。
後半はブラームスのピアノ四重奏曲第1番をシェーンベルクが管弦楽版に編曲したもの。この日のプレ・トークでアルミンクさんは、ヨハネス・ブラームスとクララ・シューマンも今シーズンのテーマである「秘密」が沢山あっただろう、ベールに包まれているからこそ魅力的なのだ、とおっしゃっていました。原曲のピアノ四重奏曲を初演したのはやはりクララでした。ピアノだけだと、時に旋律が解りにくくなったりする原曲ですが、シェーンベルクは主にピアノの部分を管弦楽にしたのでしょう、聴いてみると、とても聴きやすい感じがしました。第1楽章などは原曲を思い浮かべてもあまり違和感がありませんが、様々な打楽器が入ってくるところでは、やはりピアノ四重奏曲とは異なります。第1楽章は端正な感じ、第2楽章は変化に富み、第3楽章は壮大、そして第4楽章は大がかりで、華やかできらめくジプシー風ロンド、アルミンクさんも豊嶋さん率いる弦の方々も管打楽器の方々も音楽に乗りに乗っていらっしゃいました。聴いている私たちも踊り出しそうな気分。興奮のうちに演奏が終わりました。
来季は「非凡な、非日常的な、たぐいまれな」の意味の“Monster”がテーマだそうです。楽しみです。
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